読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Pastalablog in はてな

時代はブログ! 日記もあるよ→http://pastak-diary.hatenadiary.com

小中学校でのプログラミング教育について思うこと(そして実際に僕がやっていることについて

はじめに

もちろん、教科書通りに教えることができる人は短期間で用意できるかもしれませんが、それでは子供たちにプログラミングに前向きな気持ちを伝えることは困難でしょう。中学生時代にプログラミングをはじめた私自身も含めて、若い頃からプログラミングに「はまった」人たちは、結局、コンピュータを使いこなすのが楽しいからこの道に進んだようなもので、教科書に書いてあるから、あるいは学校の授業だからという理由でプログラミングをはじめた人など見たことがありません。

Matzにっき(2013-06-12)

プログラミングの能力は、創造性をともなうという点である種芸術に似ています。そういう点では美術の授業に似ているのですが、問題はプログラミングの場合、人によっては非常に短期間で上達するため、小学生であってもプロを越える作品を完成させることがたびたびあることです。人によって出来栄えが10倍、100倍あるいは1000倍も違うようなものを学校の成績としてどのように評価したらよいのか途方にくれます。

Matzにっき(2013-06-12)

数日前にRuby生みの親であるまつもとゆきひろさんが上のようなブログ記事を公開されてから、ここ数日はTwitterなどで関連記事や言及をよく目にしました。僕自身、そういう問題意識があってプログラミングワークショップの活動をしているので、今一度自分の考えをまとめる意味でもまつもとさんのエントリを手掛かりに少し書いてみようと思いました。よろしくお願いします。

プログラミングワークショップの活動への想い

僕自身、2009年にちょうどこんな記事を書いていました。
「プログラミングワークショップ in Kyoto」に関する構想についてとスタッフ募集のお知らせ - Pastalablog in はてな

一言で表すと「小中学生に『ものづくりの手法』として、『プログラミング』ってのがあることを知って欲しい」と思ったのが、キッカケでした。

それまでは、プログラミングにほとんど興味は無かったのですが、この記事と出会い、実際に「自分が作ったプログラムが動く」ということに感動を覚えたのを今でもはっきりと記憶しています。
そんな感動を少しでも多くの、当時の僕と同じ年齢の人に知って欲しいと思って、設立しました。

それこそ、最初に挙げた記事の中の3つ目の記事に書かれていた

給食や芸術観賞、社会科見学と同じように「こういうものが存在するんだ」という認識を持ってもらえればそれで十分としないといけないと思う。

中学校までに自分の作ったプログラムがうまく動かないという経験すれば十分 - 発声練習

こういう機会を自分たちの手で提供したい。そういう気持ちをちょうどプログラミングキャンプに行った後くらいに抱きだして、周りの人に声を掛けたら徐々に賛同してくれる人が集まって今は10人ちょっとくらいの少ない人数だけども地道にプログラミングのワークショップをやっています。
京都クリエイティブワークショップ(きょーくりっ)
京都クリエイティブワークショップ | Facebook

実際にワークショップ活動をしていると、小学生や中学生がやってきて実際にその場で人生で初めてのプログラミング(ゲーム作り)をするわけです。
「Scratchでゲームを作ろう」っという看板を掲げたスペースでワークショップの準備をしていると前をたまたま通った小学生の兄妹がお母さんに「ゲーム作れんねんて、やってみたい!」って言う場面にも遭遇しました。
そして、彼らは最後には目を輝かせながら自分でゲームを作っていました。
そんな彼らを見ていると、こういうことをやってて良かったなとつくづく感じました。「僕でもゲーム作れるやん」って言ってくれるといつも「こういう気付き」を多くの子たちに経験してほしいなと思ってもっともっと頑張ろうと思えます。
京都クリエイティブワークショップ(きょーくりっ) » 大阪大学いちょう祭ワークショップを開催しました
子供向けプログラミングの現場から(1):子どもにプログラムの手順だけでなく概念を伝えたい - @IT
僕はこんな活動をしていますが、プログラマが増えて欲しいという気持ちはほとんどありません。*1さっきも引用しましたが、社会科見学の一環としてプログラミングに触れてみてほしいなと。
僕は京都に住んでるのでそれを例に上げると、清水焼とか西陣織の体験教室と一緒だと思ってやっています。普段凄いなと思っている職人技のそれらを自分の手で作り上げることを体験して、自分でも出来るっていうことを実感する。もしかするとその体験をした100人のうちの1人くらいはそれをとても面白いと思ってくれてその後も清水焼に興味を持ち続けて、職人に弟子入りするかもしれない。
本当に清水焼界隈でそういうことが起きてるのかは知りませんが、「清水焼」を「プログラミング」に置換しても同じことが出来るのではないかなと思って、そのキッカケをいろんな人達に少しでも配り歩くためにワークショップを色んなところでやりたいと思って活動してます。
こうすることでまつもとさんの仰っているような

少しでもたくさんに人にプログラミングに触れる機会を与え、そしてそれに興味を持てた人、才能の片鱗を見せた人にはより豊かな機会を与えるようなプロジェクトを総合的に設計すること

が現実化させられるのではないかなと思っています。

学校教育、特に小中学校では、テストの得点なり実技の到達レベルなりが評価評定という形で提出されます。このシステムに対してコメントするのは、今回の流れで言及したいことではないので置いておきますが、このシステムに乗っ取らないといけない限りは「プログラミング教育が型にハマってしまう」のは仕方がないことかなと思います。それこそ小飼弾さんの「採点できないなら、しなければいいのに」だと思います。そんなプログラミング教育を施したところでは、まつもとさんの懸念である「子供たちにプログラミングに前向きな気持ちを伝えることは困難」が解消されることはないでしょう。
(「困難」だけど「不可能ではない」と思っていて、僕が中学生の時は総合学習の時間に教師にSqueakを使ったプログラミングを教えてもらって、すごく面白かった記憶があります。運が良かったのか元々興味があったからなのか分かりませんが、一緒に授業を受けてた数十人の友人が1人もプログラミングにそれ以降も興味を持ち続けることがなかったことを考えるともしかするとこれはレアケースなのかもしれませんが…)

だからこそ、学校教育を批判したところでシステムを大きく変えたりすることは難しいかもしれませんが、自分たちの手でプログラミングや創作に対する子どもたちの隠れた才能や興味関心に本人や親兄弟が気付けるしれないそういう良質な機会を提供することをやれば良いのではないかなと思っています。
実際、CoderDojoなどなど僕達がやりたいと思っていることと同じ事をしている人たちが日本にたくさん現れ始めています。
もっともっとこのムーブメントが広がれば、日本のプログラミング界隈の未来ももっと明るくなるんじゃないかなと思っても居ます。


先日そういえば、サイバーエージェントとLife is Techが共同で小中学生へのプログラミングキャンプ事業を開始すると発表がありました。
サイバーが小学生向けにプログラミング教育事業を開始--投資先と新会社を設立 - CNET Japan
運営会社 | Tech Kids CAMP(テックキッズキャンプ)
わざわざここに書かなくても良いのかもしれないけど、誤解を招くのを恐れずに言うと、個人的にはやっぱりいきなり小学生に「iPhoneアプリ作れるよ。38,000円だよ」って言ってしまうのはハードルが高いかなと思っています。
そういうLiT的な活動は実戦的でCoolだし大切だと思う。どっちが大切とかそういう話ではなくて、ある種住み分け的に、(僕は|僕らは)もっとプログラミング自体に対する感情的な障壁とかを下げることをしたいと思っていて、だからこそ色んなところに出て行ってはプログラミングのワークショップをその場を通りかかった子どもたちとかに繰り広げています。

それこそインタビュー内で水野さんが仰っている

Jリーグが始まってサッカーをやる子供も増えてきたが、それと同じ規模にしたい。全員がエンジニアになる必要はないが、『自分のやりたいこと、欲しいものを自分で作る』ということを学んで欲しい」(水野氏)

これは僕も野球を例にちょうど最近人に話したことが何度かありました。野球ってバットとボールとちょっとの空き地があったら簡単に始められるじゃないですか。ボールとバットをコンピューターと同じ扱い(価格的な意味で)は難しいかもしれないけど、100ドルPCとかそういうのが広がってコンピュータの値段が下がることだってこれからあると思う。そういった彼らでもちょっとアイデアで世界を驚かすアプリケーションが作れるかもしれない。ブラジルの街でサッカーをしていた少年がサッカーで夢を叶えて地元に学校を建てるとか、そういう話がコンピュータの世界にもそろそろあっても良いと思います。というか近々起きると思っています。
日本でも、プログラマーの地位が低いとか言われてますが、これも野球で例えばバント1つとってみても見た目では簡単そうでも実際やってみるととても奥が深い。だから、プロ野球選手は評価されて、「誰でも出来る野球」でちゃんとした地位を得るように、プログラミングを多くの人が体験することでプログラマーの地位が少しでも向上するんじゃないかなとも少し思っています。

こんな感じで僕はScratchワークショップのようなものを少しでも多くの子供達(それもそれ目当てではない子どもたち)にプログラミングという技術と遭遇させてあげることで、少しでもプログラミングの面白さや奥深さ、また自分でもゲーム(なりプログラム)が作れるっていう感動を是非とも味わって欲しいと思って京都クリエイティブワークショップという団体を作って数年間少しずつですけど、活動して来ました。
まつもとさんの記事の内容への自分なりの考えとして、実際にやってきたことを紹介してみました。
僕なりのプログラミングへの想いが伝われば幸いです。

京都クリエイティブワークショップではこれからも関西圏を中心に(関東にも兄妹グループの「ものづくり寺子屋」のメンバーが居ます。)ワークショップをしていく予定です。Scratchから徐々にステップアップしていくようなワークショップシリーズとかも出来ればなと思っています。メンバーなどは随時募集していますので、もしこのエントリで興味を持っていただけたら連絡くださいませ。

(全体的に、特に最後が、宣伝みたいになってしまったなぁ・・・)

おまけ

どこかに挿入して触れようと思ったけど、良い感じの場所が見当たらなかったので、ここに貼っておきます。
最新の中学校技術科の学習指導要領には次のような文言が書かれています

(3) プログラムによる計測・制御について,次の事項を指導する。
ア コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。
イ 情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。

第2章 各教科 第8節 技術・家庭:文部科学省

*1:増えてくれたらそれはそれで嬉しいですが・・・